普 通 合 板


合板(プライウッド「Plywood」)は一般にベニヤ板と呼ばれており,木材を薄くむいた板・単板(これをベニヤ「Veneer」といいます)を木目が直交ずるよう重ね,接着剤ではり合わせて作ったものです。このようにはり合わせただけで表面に化粧を目的にオーバーレーしない木地のままの一般用途に用いられるものを普通合板といいます。なおこの項では,用途により種々の性能を付与した普通合板類似のものもとりあげることとします。

 1.生産の歴史と現状


 合板の歴史は極めて古く,古代エジプト王国時代にさかのぼります。この手法はベニヤリング(薄板ばり)と呼ばれ,当時の遺物にその手法がみられます。また,わが国でも正倉院の御物の中に,合せ板の手法によるものが残されています。
 しかし,わが国で手工芸的な工法の域を脱して,その製法が機械化されるようになったのは,明治40年名古屋において,浅野吉次郎氏が独創によるベニヤレースの発明に成功したときに始まるとされています。

 以来ベニヤ板の名で普及し,戦時中から合板の呼称に変り,そうした呼称の変遷とともに,逐次製造技術の向上,接着剤の進歩,設備の近代化などが進められた結果, こんにちでは需要の形態に対応して,内装,外装,構造用など各種各様の合板が生産されるようになり米国に次ぐ世界の合板工業国といわれるまでに発達をとげました。
 そして次のように非常に広い分野に使われています。

^ 合板の呼称
 普通合板は通常,樹種(表面単板に使った木の種類),類別(接着強度),等級(板面の欠点などによる品等区分),寸法(厚さと幅と長さ)又は用途によって分け
ています。
 したがって普通合板を注文したり,販売したりするときは,例えば次のように呼びます。


(2) 合板の樹種別分類
 合板に使われるおもな樹種には,つぎのようなものがあります。
国内産材
 カバ,ブナ,シナ,セン,タモ,ナラなど。
南洋材(通称ラワン)
 レッドラワン,タンギール,アルモン,マヤピスなどのラワン類のほかに,メランチ類,セラヤ,カプール,アピトン類なども含まれます。
 その他最近では,ソ連,北米産針葉樹のほか,アフリカ材のものもあります。
 実際はラワン合板(南洋材合板)が生産量の大部分を占めています。

(3) 合板の性能別分類
 合板は先に述べたように,単板を接着剤で貼り合わせて造るため,接着強度が合板の生命であるといえます。
 このことから,接着強度を保証するために接着層の耐水性能により,4段階に分けられていて,使用する場所の環境によって使い分けることが大切です。その基準を掲げると次のとおりでず。
 特  類  合  板・・・・・建築物の構造用耐力部材で,常時湿潤状態の場所でも使える合板
 1類合板(タイプ1)・・・・屋外及び長期間湿潤状態の場所でも使える合板
 2類合板(タイプ2)・・・・主として屋内で,多少の水のかかりや湿度の高い場所でも使える合板
 3類合板(タイプ3)・・・・屋内で湿気のない場所に使う合板

(4) 合板の寸法別分類
 JAS規格に示された寸法が多く使われています。
○厚さ
 厚さと単板の積みかさね枚数一プライ数一とは,一応関連があります。
 厚さ6mm以下 3プライ(3枚合わせ)
 〃 9〜15mm 5プライ(5  〃  )
 〃 18〜21mm  7プライ(7  〃  )
 〃 24@以上 9プライ(9  〃  )
○幅と長さ
 注文に応じて任意のものができますが,標準のものに,61B×243B(2尺×8尺),91B×182B(3尺×6尺),122B×243B (4尺×8尺)があります。

(5)合板の用途別分類
 合板の用途がひろがるにつれて,それぞれの用途に適する性能が要求されますので,JAS規格では用途に基づき次の基準が制定されています。
 警通合板・・・・普通の一般合板
 コンクリート型粋用合板・・・・コンクリート型枠に用いられる合板。
 構造用合板・・・・建築物の構造用耐力部材として用いられる合板。
 難燃合板・・・・特殊建築物,常時火を使用する箇所に用いられる合板。建築基準法の難燃材料です。
 防炎合板・・・・展示場およぴ舞台の大道具用として用いられる合板。消防法の防炎材料です。

2.JAS規格の概要


 JAS規格には前にも記したとおり晶質の基準として,接着の程度,含水率,板面の晶質,心板の品質,側面および木口面の仕上げ,寸法の許容差などが規定

(注)合板から放射するホルムアルデヒド及び防虫処理に関するJAS規格も設定されています。用途によってF1,F2,F3,及び防虫処理の表示をしたものを使用されるとよいでしょう。なおホルムアルデヒド放散量及び防虫処理の規定数値は15ぺ一ジ(注)に記載してあります。

特殊合板

 特殊合板は,二次加工合板とも呼ばれ,普通合板(主にラワン合板)の表面に,優良天然木を切削して貼ったものや,木目や抽象柄をプリント加工,ポリエステル樹脂・メラミン樹脂・塩化ビニル樹脂等の合成樹脂をオーバーレイ加工,または塗装等を施した表面加工合板などの種類があります。
 これら特殊合板は用途に応じて木材のもつ欠点を改良したり,用途に応じた性能を付与した材料で厚さに比べて強度があり,伸縮が少なく狂わないなど多くの長所をもった材料ですが,使用目的や環境によって使い分ける必要があります。
 すなわち応接室の壁面のように美しい表面や,テーブルトップ,カウンターのように丈夫な表面を要求される場合,あるいは防火性能が要求される場合,食器棚,ベビータンス等低ホルムアルデヒドのものが要求される場合は,それぞれの目的に合った材料を選ばなければなりません。
 また特に天井,壁面などに使用される特殊合仮には防虫処理を施したものを使用するとよいでしょう。

 1.生産の歴史と現状
 特殊合板は創始期においては,普通合板の表面に銘木単板(ツキ板)を貼り合わせた天然木化粧合板が生産され,おもに家具用資材として使用されていたものですが,昭和30年代に入ってからは,各種の合成樹脂の開発と,印刷,塗装などの加工技術の発達,ならびに接着剤の開発によって,多種多様の特殊合板が生産されるようになり,そのうえこれらの製品は化粧的,装飾的な性能をもつものだけに,需要分野も家具,キャビネット,がら建築方面へと広がってきております
その主な理由は,
(1)合成樹脂の発達と二次加工技術の進歩によって,美しく丈夫な特殊合板が建築工法の乾式化促進に役立ったこと。
(2)残材,家具資材としての加工性,程済性および居住性が優れていること。
(3)国民生活の水準が向上し,家屋の洋式化,家具,テレビ,ステレオなど耐久消責財が増加し,これらに特殊合板が使われたこと。などがあげられます。
JAS規格ではつぎの2種類に区分しております。
(1)天然木化粧合板
 天然の銘木から切削した化粧単板を台板合板(ラワン合板)の表面に美観を目的に接着しさらに,永持ちさせるために表面に塗装を施したものです。
(2)特殊加工化粧合板
 合成樹脂,塗料,紙布類などのような材料を台板合板の表面にオーバーレイ加工したものです。
 これらの化粧合板には,メラミン・ポリエステル・塩化ビニル・ジァリルフタレート・ベンゾグアナミン樹脂などの合成樹脂化粧合板,各種塗料によるカラー塗装合板,プリント合板,紙布類などのオーバーレイ合板があります。

 2.JAS規格の概要
 特殊合板のJAS規格は,表面加工の種類を対象として定められており,つぎのように分類しています。

(注)特殊合板から放散するホルムアルデヒドを規制したもの又防虫処理をほどこしたものもあります。

 これらの特殊合板には品質の基準として,台板合板の接着の程度,含水率,側面および木口面の仕上げ,寸法の許容差などが規定されています。
 特に表面のオーバーレイ材料の物性が重要なので,特殊加工化粧合板では特別な理化学試験を行なって,この物性の性能をF,FW,W,およびSWの4階級のタイプに分けて表示するように規定しています。

 4.買い方・使い方・選び方
 特殊合板は既に述べたように家具,キャビネットのほか建材として,天井,壁面などいろいろに使われていまずが,一般的には,次の名称で流通しております。JASマークを目安にして,使用目的と使用箇所に合ったものを選んで下さい。
(1)天然木化柱合板
 自然の銘木からスライサー,ハーフロータリーといった切削機械によって化粧単板(ツキ板ともいわれ,厚さ0.25m/m〜1.0m/m)をとり,これを台板合板の表面に意匠的(ミスマッチ,ブックマッチ,市松ばりなど)に貼り合わせたものです。
 化粧用単板をとるための原木は世界各地から輸入される天然優良木で,代表的な樹種はチーク,マホガニー,ウオールナット,ローズウッド,カリン,コクタン,シクンなどがあり,国産材ではケヤキ,ナラ,セン,カバ,キリ,ヒノキ,スギ,クスなどがあります。
 これら優良天然木を貼った天然木化粧合板は,和洋ダンスをはじめ座卓,鏡台,書棚,机,サイドボードなど高級家具材のほか,テレビ,ラジオ,ステレオなどのキャビネットとして使われ,建材用としては,天井,壁面,内装ドアーに至るまで国民生活の向上に伴ってその用途は高級品として幅広く多方面に使用されています。
 天然木化粧合板の建材用としての特長を述べると,木材のもっている優雅な自然の美しさを内装美観材料としてもっとも理想的な形に製造したもので,それを裏付けるようにわが国のみならず世界各国でも高級内装材として使用されています。
 身近なところではわれわれの住居をはじめ,劇場,銀行,ホテル,公共建築物などにみられますし,皇居の新宮殿にも使われています。
 特長の主な点は,
 @ 壁面や天井に施工しても,飽きがくることはなく,他の建材とちがって深み,味わいがある。
 A 銘木の製材品に比較して,安価で狂いがない。
 G 製材品では得られない,幅広く長い寸法のものが得られる。
 C 他の特殊合板と同様に加工,施工が簡単である。
 しかし,次のような弱点もありますので,この点は十分注意して下さい。
 @内装材料として生産されていまずので,自然の影響をうけやすい外装材料としての必要な性能はありません。したがって雨のかかりやすい場所,常に直射日光の当る場所には使用しないようにして下さい。
 A 熱にも余り強くありません。一般建築の壁面や天井が常に経験ずる程度の熱や温度,湿度の変化などには十分耐え得る強い品質はもっていますが,タバコの火や熱湯,油のような直接的な熱には強くありません。
   テーブルトップ,風呂場の内装には使用しないようにして下さい。
(2) プリント合板
 このプリント合仮は銘木の自然のままの美しい木目をすぐれた印刷加工技術によって,同じ木材質である台板合板上に再現した建材で,好みの木目,好みの色彩のものが自由にしかも大量に生産することができます。
 特長の主な点は,
 @ 仕上げ塗装が行なわれているので施工後塗装する必要がないこと。
 A 好みの木目,好みの色調のものが大量に揃うこと。
 B 価格が他の特殊合板に比べて低廉であること。
 C 仕上げ塗面は耐水性があり,水拭きができ,常に清潔に保てること。
 D 家庭工具で平易に施工できること。
 しかし,天然木化粧合板と同様に耐候性,直接的な熱には強くないので,注意して下さい。
 次にプリント合板の選び方を述べてみましょう。
 プリント合板には柄,色彩,寸法等の組み合わせによって多くの種類があるので,それぞれの使用目的に適した種類のプリント合板を使うことが大切です。
 @ 柄と色彩
  柄には木目柄と抽象柄とがありますが,抽象柄はごくわずかで大部分は木目柄です。
 A 住宅の内装
  住宅の壁や天井は平凡な,抵抗の少ない暖かな感じの柄がよいようです。色彩は住宅の中でもその目的,用途によって選び方が異なります。
  天井には明るい系統を,壁面には中間的な色調というのが無難ですが,台所,玄関,応接間,居間というようにその部屋の要求度によって異なるのが一般的です。
 G 商店の内装
  住宅と異なりむしろ目新しいユニークな柄が調和ずる場合が多いようです。
   したがって食堂,喫茶店,バー,美容院,電気器具店などというようにそれぞれの目的,機能に応じて選ぶ必要があります。
  また,天然木化粧合板と同様,プリント合板にはVあるいはU溝をつけたものがあり,バラエテーに富んだ優雅な壁面を構成ずるのに最適なアクセントのきいた施工容易なものがあります。
(3)合成樹脂化粧合板
 台板合板の表面をいろいろな合成樹脂を使ってオーバーレイし,木目柄や単色など美しさを出し,高度の耐水性,耐熱性,耐摩耗性,硬度,耐候性などを有する優れた建築,家具材料です。メラミン樹脂化粧合板ポリエステル樹脂化粧合板ジアリルフタレート樹脂化粧合板など

 特長の主な点は,
@ 柔らかい光沢と優雅な色彩をもつ美しい表面であること。
A 表面が硬く丈夫で衝撃に強く,傷がつかないこと。
G 耐熱性があり,たばこの火程度では表面に変化がないこと。
C 耐薬品性があり,酸,アルカリななど化学薬品に侵されず,簡単に拭き取れること。
D 耐水性があり,水拭きができ,常に清潔に保てること。
E 家庭工具で平易施工できること。

(4)塩化ビニル樹脂化粧合板
 塩化ビニル樹脂は硬質,半硬質,軟質などがあり,感触を異にし,色柄は木目模様,抽象柄,単色などがあり,エンボス加工を施したものなど,その種類は豊富で,建築物の内装,家具,キャビネットなどに使用されまず。
(注)特殊合板から放散するホルムアルデヒドに関する規定及び防虫処理に関する規定がJAS規格中に設定されており,用途によってFl,F2,F3及び防虫処理の表示をしたものを使用されるとよいでしょう。
(注)ホルムアルデヒド放散量の規定数値が定められた試験条件下でデシケーター中に置かれた蒸留水に溶けたホルムアルデヒドの量を規定するもので,この数値の40%が一般的な条件での気中濃度(ppm)です。